Withコロナ時代の医療費控除で注意したい!マスク代や消毒液、PCR検査は申告できる?
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マスク購入費用やPCR検査、オンライン診療について医療費控除の適用対象になるのか?ならないのか?という観点から国税庁がFAQを更新しています。
新型コロナウイルス感染症の先行きがなかなか見通せません。そんな中、新型コロナウイルス感染症関連の質問が増えてきました。
そのような中でもマスク購入費用やPCR検査、オンライン診療ということについて医療費控除の適用対象になるのか?ならないのか?という観点から国税庁がFAQをとりまとめましたので、その内容のエッセンスをとりまとめてみました。
◆マスクの購入費用は医療費控除の対象になるの?
近頃はだいぶ落ち着いてきましたが、春先の一時期、マスクが店頭から消える、あるいは入荷次第またたく間になくなる、といったことを目にした人は多いかと考えます。あのマスクの購入費用は医療費控除の対象になるのか?ならないのか?ということについて解説していきましょう。
税法で規定する医療費控除の対象となる医療費の考え方とは
医師又は歯科医師による診療又は治療の対価
あるいは
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価
といったように、ある一定の資格を持った人(以下、ここでは医師等といいます)に対しての治療や施術の対価、といったこととされています。また、治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価とされ、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費控除の対象とはなりません。
これらのことから、マスクの購入費用については、病気の感染予防のための費用であり、医療費控除の対象には該当しない旨が発表されています。このように考えると、上記FAQでの言及はありませんが、消毒液の購入費用やフェイスシールドの購入費用も、医療費控除の対象にはなりにくいと考えます。
◆PCR検査は医療費控除の対象になるの?
PCR検査は医療費控除の対象になるのか?ならいのか?という適否判断は、マスクの購入費用と比べるとやや厄介です。というのも、同じPCR検査でも「医師等の判断によるもの」なのか「自己判断によるもの」なのか、で扱いが異なるからです。
現状の医療費控除の解釈では上記にふれたように、「医師又は歯科医師による」とあるように一定の資格者が介在する必要があります。したがって、医師等の判断により受けたPCR検査の検査費用は医療費控除の対象となります。一方、自己判断によるPCR検査は、一定の資格者が介在しないので、医療費控除の対象となりせん。
ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるため、「医師等の判断によるもの」なのか「自己判断によるもの」なのかに関わらず、医療費控除の対象となります。
ただし、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限りますので、公費負担があった場合にはその部分を差し引き、自己負担分を算定する必要がありますので、注意してください。
スマホからでも医療費控除は申告できます(出典:国税庁資料より)
◆オンライン診療を利用した場合の医療費控除の取扱いは?
国税庁のFAQによるとのオンライン診療に係る費用については以下のとおり区分しています。
・オンライン診療料
・オンラインシステム利用料
・処方された医薬品の購入費用
・処方された医薬品の配送料
以下、それぞれ考え方と適否をとりまとめてみました。
・オンライン診療料……医師等による診療や治療のために支払った診療費用なので医療費控除となります
・オンラインシステム利用料……医師等による診察を受けるために支払った費用なので医療費控除となります
・処方された医薬品の購入費用……治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価なので医療費控除となります
・処方された医薬品の配送料……支払先が宅配業者等であり、治療又は療養に必要な医薬品の購入費用にはなりません。したがって、医療費控除となりません
ここで紹介した事例は国税庁が2020年10月23日に更新した「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税など当面の税務上の取扱いに関するFAQ」のエッセンスをとりまとめたものです。今までの状況をみると今後、同FAQが随時更新することもありますし、新型コロナウイルス感染症拡大後、はじめての確定申告なので、取扱いが不慣れであることも予想されます。
また、マスク購入費用や消毒液購入費用、フェイスシールド購入費用を会社が支出した、あるいは職場で一斉にPCR検査を行ったのが費用になるのか?ならないのか?という観点からみていく必要がありますので注意してください。
ですが「医師等による診療又は治療の対価なのか?」「治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価で病気の予防や健康増進のための対価は含まれていないのか?」という2つの観点をおさえておけば、Withコロナ時代の医療費控除にも対応できると考えます。